あなたの対岸のうちのひとつ

2014

床にチョーク、裏地布、木材

「七院から」/やまきわ美術館、十日町市 新潟

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あなたの対岸のうちのひとつ

Installation view /あなたの対岸のうちのひとつ

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Detail /あなたの対岸のうちのひとつ






新潟県十日町市松之山に滞在し制作した作品。

古民家を改装したギャラリー、やまきわ美術館にて展示。全体が囲炉裏からの炭で黒く染まっている屋根裏部屋に設営した。

手前の柱には薄布が張ってあり、柱の横を回り込み、作品奥へ進む。その先の床は、部屋を横切る白線状にチョークで塗りつぶしてあり、白線で区切られた対岸はライティングされている。線の上には上面を白く塗った木材が立てかけてある。


松之山は豪雪地帯だった。下見に訪れた冬には数メートルの雪が道路脇に積み上げられていた。歩き回れば、使わない道が雪の壁で寸断されているのにいくつもぶつかった。それらの壁から先へはむやみに立ち入ることができず、私はその縁に立って、目を凝らしてそれらの入れない場所を眺めるしかなかった。その壁は人の住む場所とそれ以外のものの住む場所を分断する境界線が、一時的に形を持って現れたかのようだった。その時私は、私を囲む、まだ意識されていない境界線の存在について考え始めた。

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