火山島である伊豆大島を取材した《ことのまえ》は噴火が起こる前の長い平常時についての作品である。三原山(伊豆大島)はこれまで周期的に噴火しており、島内では遠くないと言われる次の噴火に備えて住民の避難訓練を行ったり、溶岩流を導くための巨大な堤が整備されている。

《ことのまえ》で描かれる避難はあくまで訓練であり(同時に演技でもあり)いつもの行事であって、どこかぎこちない。訓練の終わった子どもたちは、よほど生き生きと日常へと駆け戻っていく。火山観測の取材、水槽爆発や溶岩導流堤をすべり降りる熱塊のイメージなど、噴火の姿を想起させる映像が挿入されていくが、ここでは恐怖を煽るのではなく、危険の姿を想像することを試みている。

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